ヤマザキマザック美術館は、美術鑑賞を通して豊かな地域社会の創造、ひいては日本、世界の美と文化に貢献すべく、名古屋の中心地である葵町に2010年4月に開館致しました。
当館創立者であり初代館長でもある山崎照幸が蒐集した作品群をもとに、18世紀から20世紀に至るフランス美術300年の流れを一望できる絵画作品、及びアール・ヌーヴォーのガラスや家具等を所蔵・公開しております。
壁布やシャンデリアで彩られた展示室は、まるで往時のサロンのような内装です。訪れたお客様がゆっくりと作品に向き合えるよう、作家の筆づかいまで感じられるように、あえて絵画作品の額からガラス板やアクリル板を外しております。
母体であるヤマザキマザック株式会社は、1919年に創業、「世界のモノづくり」の基礎を支える工作機械メーカーです。金属やプラスティックなどの材料を加工して部品や金型を作り上げる工作機械は、身の回りのあらゆる製品の製造に係わることから「マザーマシン」と呼ばれています。携帯電話、自動車、飛行機、船、人工衛星などの他、人工骨や関節など医療分野においても、製品を加工するために高性能な工作機械が使われています。いわば私たちの生活の根幹となる重要な産業です。
初代館長
山崎照幸は、美術工芸品を「優れた感性の結晶で、工作機械と同様に、高度な技術とセンスが融合された世界」と表現しました。
工作機械メーカーとしてのヤマザキマザックは、これからも最先端の製造技術を世界中の製造業に携わる方々に提供し続けて参ります。そして当館は、学芸員によるギャラリートーク、閉館後の展示室で行う演奏会など関連イベントにも趣向を凝らし、ご来館の皆さまに心安らぐ潤いのひと時と香り高いフランス文化を堪能していただけるよう、「おもてなしの心」を大切にした運営に努めてまいります。当館の文化活動が、芸術に親しく触れるきっかけとなることを願っております。
館長 後藤 昌功