展覧会

Photograph 記憶の花 藤原更 Sarah Fujiwara

会期
2024年04月26日(金)から
2024年06月30日(日)

《Melting petals 01》撮影:2007年 制作:2013年 101.5×150.0×2.8㎝ ヤマザキマザック美術館 

 

藤原更(ふじわら さら)の作品は、写真でありながら、写真ではありません。なぜならそこには、写真には捉えきれなかった“記憶”が挟み込まれているからです。

以前フランスで撮影した芥子畑の写真が、記憶に残る芥子畑とあまりにも違ったことを受けて藤原は、記録写真をもとに記憶の芥子を表現したいと考えるようになりました。「記憶の可視化」です。

展覧会名に“写真”ではなく“Photograph”をつかっているのは、藤原が“Photo(光)graph(書く)”という単語の本来の意味を踏まえて、「光で描く」思考を取りこんでいるからです。藤原は「光で描く」ことで、記録を越えた記憶の芥子を表現し、Photographが持つ可能性を更に拡張しようと試みているのです。

今回ご紹介する「花三部作」(蓮・薔薇・芥子/ハス・バラ・ケシ)は、コマーシャルフォトグラファーとして第一線で活躍した藤原ならではの「光と時間を駆使して瞬間を切り撮る写真」に、日本画の“ぼかし”や独自の“剥離”など、記憶のあいまいさを表現するための多様な技法が加えられています。

「命の儚さ、そして存在の輝きを表現したもの」をつくりだしていきたいという現代美術家 藤原更の『記憶の花』をお楽しみください。

第一章 NEUMA

2011年の東日本大震災後まもなく、魂の救済を意味する蓮を被写体に、泥の中の枯れて折れた蓮の茎の風景に希望を見いだすことが出来ないかと取組んだ作品です。NEUMA(ネウマ)は、グレゴリア聖歌など中世の記譜において用いられた記号です。時代や国を越えた祈りを捧げる想いを持って、このシリーズ名が付けられました。

 
左より:
《Neuma 03》撮影/制作:2011年 ラムダプリント 100.0×80.0cm 個人蔵

《Neuma 04》撮影/制作:2011年 ラムダプリント 100.0×80.0cm 個人蔵

 

第二章 LA VIE EN ROSE

鮮やかに咲き誇る薔薇の花びらを至近距離で撮影した、藤原独自のAntanagraph(アンタナグラフ)と呼ばれる作品で、鑑賞者の心象、鑑賞環境、時間、光によって見え方が変化します。

LA VIE EN ROSE(ラ・ヴィ・アン・ローズ)=「薔薇色の人生」とは一体何色なのでしょうか。

  

左より:
《La vie en rose 01》撮影:2013年 制作:2014年 111.2×67.8×5.0cm 個人蔵

《La vie en rose 03》撮影:2015年 制作:2015年 110.8×67.0×5.0cm 個人蔵

《La vie en rose 05》撮影:2014年 制作:2015年 110.8×77.3×5.0cm 個人蔵

第三章 MELTING PETALS

MELTING PETALS(メルティング・ペタルズ)とは、溶けゆく花びら、のこと。

2007年にフランスで撮影した際に見た芥子畑の記憶を、時を越えて蘇らせた作品です。五官を通し記憶に残された芥子の姿が、大型ストロボやプリント技術を駆使し、さらにぼかしや剥離技法を加えて、鮮やかに表出されています。

《Melting Petals 05》撮影:2016年 制作:2019年 79.8×120.0×2.8cm 個人蔵


展覧会では、視覚以外の方法、五官を通して鑑賞者の方に楽しみ味わっていただけるよう、記憶の芥子を届けるための表現手段として、インスタレーションもご覧いただきます。

 

 

藤原更

愛知県津島市生まれ。現代美術家。
1999年を境にコマーシャル・フォトグラフの分野からアートの世界へと踏み出す。パリ・ブリュッセル・マドリッド、ニューヨークなど国内外で作品発表。

開館時間

平日 午前10時から午後5時30分
土日祝 午前10時から午後5時
(最終入館は閉館30分前まで)

入館料

一般:1,300円(10名様以上1,100円)
小・中・高生:500円
小学生未満:無料
*各種障害者手帳をご提示の方とその同伴者1名は1,100円
*音声ガイド無料サービス

休館日

月曜日※4月29日、5月6日は開館 、5月7日(火)

主催 ヤマザキマザック美術館
中日新聞社
後援 愛知県教育委員会、岐阜県教育委員会、三重県教育委員会、名古屋市教育委員会、公益財団法人名古屋市文化振興事業団
協力 株式会社カセットミュージアム
特別協力




ガイドツアー【申込不要】

参加無料※ただし要当日鑑賞券 / 予約不要 / 定員20名(先着順)

各回10時30分から1時間程度

会場を巡りながら展覧会の見どころをわかりやすく解説します。

ご参加を希望される方は、各開催日に美術館1階の受付にてお申し出ください。

①藤原更さんと当館学芸員によるガイドツアー

日時:4月27日(土)、5月25日(土)、6月22日(土) 

②当館学芸員によるガイドツアー

日時:5月11日(土)、6月8日(土)

トークイベント【事前申込制】

「藤原更さんと森岡督行さんが語る『記憶の花』」

日時:5月11日(土) 17時20分受付開始/17時40分開始/18時40分終了予定

会場:ヤマザキマザック美術館4階展示室

参加無料※要当日鑑賞券/定員35名

申込方法:4月14日(日)よりお電話(052-937-3737)にて承ります。


森岡督行氏

「一冊の本を売る書店」をテーマに、一冊の本から派生する展覧会を行いながらその本を販売する銀座森岡書店の店主。

X(旧Twitter) https://tinyurl.com/4jw4t9hs

Instagram https://tinyurl.com/24ddu9w9

ナイトミュージアム【事前申込制】

「祈りの昇華 ~音楽の父と母が遺した希望の調べ~」

日時:6月22日(土) 17時45分受付開始/18時15分開演/19時15分終演予定

会場:ヤマザキマザック美術館5階示室

出演者:中川祥治[リュート]、森川侑子[ソプラノ]、髙橋弘治[チェロ]

費用:友の会会員¥2,000(税込) 一般¥4,500(税込) ※一般申込者には本展当日券付き

*申込方法等の詳細はこちらのページでご確認ください。

 


所蔵品展

―夏から秋へ―

会期
2024年07月05日(金)から
2024年11月24日(日)

ヴァトー、ブーシェ、フラゴナール、シャルダンらロココ美術の巨匠たち、そして、クールベ、モネ、モディリアーニ、ピカソ、シャガール…と、各時代を代表する画家の作品を展示致します。

 

 

これらの絵画作品は年代順に展示されており、展示室を巡ることでフランス美術300年の変遷を楽しみながら知ることができます。

 

 

アンドレ・ボーシャン《農民たちの休息》1929年

 

また、工芸作品の展示室では、エミール・ガレやドーム兄弟が手掛けたガラス作品をご紹介しています。 


 

ポール・アレクサンドル・デュマが室内装飾一式をデザインしたダイニングルームでは、当時の邸宅の雰囲気を味わうことができます。19世紀末から20世紀初頭に花開いたアール・ヌーヴォーの世界をどうぞご堪能ください。

エクトール・ギマール《庭園用花器》1905年頃

開館時間

平日 午前10時から午後5時30分
土日祝 午前10時から午後5時
(最終入館は閉館30分前まで)

入館料

一般:1,000円(10名様以上800円)
小・中・高生:500円
小学生未満:無料
*各種障害者手帳をご提示の方とその同伴者1名は800円
*音声ガイド無料サービス

休館日

月曜日 ※月曜日が祝日の場合は開館し、翌日休館

主催 ヤマザキマザック美術館
後援
協力
特別協力




ガイドツアー

作家や作品についてのエピソードや見どころを、学芸員がわかりやすく楽しく解説します。

「所蔵品展」をより深い視点で鑑賞してみませんか?


集合場所の目印 アントワーヌ・ブールデル《果物を持つ裸婦》鋳造年不詳
日時:第2、4土曜日 10時30分から約1時間定員:先着10名

参加方法:鑑賞券をご購入のうえ、開始5分前までに美術館1階の彫刻《果物を持つ裸婦》前へご集合ください。

過去のガイドツアーの様子